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2009 年度 実績報告書

高機能広汎性発達障害児者の自己意識の発達的変化に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530625
研究機関山口大学

研究代表者

木谷 秀勝  山口大学, 教育学部, 准教授 (50225083)

キーワード高機能広汎性発達障害 / アスペルガー症候群 / 高機能自閉症 / 高機能広汎性発達障害の自己意識 / 自己意識の発達的変化
研究概要

【目的】今年度の調査では、3年間の高機能広汎性発達障害児者(HFPDD)の自己意識の発達的変化の調査研究の最終年として、HFPDDの自己意識の発達的特徴と発達課題を明確にすることを目的とした。
【方法】対象児者は小学生~高校生では28名を、青年期以降では5名を対象として調査した。その結果、平成17年度以降で3回の調査対象19名、2回の調査対象23名の計42名(女性13名)を分析対象とした。調査方法では、WISC-III(WAIS-III)知能検査、臨床描画法(○△□物語法と人物画)、CAT(TAT)、半構造化面接を個別に実施した。
【結果及び考察】WISC-III(WAIS-III)の結果、書語性の発達的変化から、中学校から高校への移行支援と高校以降の支援の重要性が示唆された。動作性の発達的変化から、環境的な安定感が重要である。青年期以降では、環境への適応パターンに応じた書語的能力の獲得の要素が強いことが明確になった。○△□物語法の発達的変化の結果、小学校では自由さと自信が生まれやすいが、思春期では一時的に停滞する。中学2年以降から自分自身を客観的に見つめる視点が可能になり、青年期以降物語全体の展開と想像性の豊かさが広がってくる特徴が強くなる傾向がある。なお、人物画では、不器用さについては大きな変化はなく、CAT(TAT)でも、表面的な状況認知の特性は変化しないことからも、HFPDDとしての障害特性は消失しないことが明確になった。
以上の発達的変化を通してHFPDDへの支援で重要なことは、次の2点である。第一に、HFPDDにとって環境的要因が果たす役割の大きい点である。第二に、安定した環境のもとで、HFPDDの発達的変化がより促進されるために、(1)早期からの診断と対応、(2)「成長するからこそ生じる新たな問題」への理解、(3)「心の世界」の豊かさと傷つきやすさ、(4)高校年代及び青年期以降の支援の重要性の4点が明確にされた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 複数同胞のアスペルガー症候群がいる家族への理解と支援-遺伝と環境との相互作用の視点から2010

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 雑誌名

      山口大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 29

      ページ: 131-139

  • [雑誌論文] 発達障害のある子どものサポートのために保護者との共同戦線の始め方2010

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 雑誌名

      子どもの心と学校臨床 2

      ページ: 71-78

  • [雑誌論文] 高機能広汎性発達障害児者の家族支援に関する臨床心理学的研究-「家族らしさ」の視点から2010

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 雑誌名

      九州大学心理学研究 11

      ページ: 225-234

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高機能広汎性発達障害の高校年代の支援2009

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 雑誌名

      児童青年精神医学とその近接領域 50(2)

      ページ: 31-39

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高機能広汎性発達障害児の発達的変化2009

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 雑誌名

      山口大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 28

      ページ: 105-114

  • [雑誌論文] 「テンション」を調整する2009

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 雑誌名

      児童心理 906

      ページ: 112-117

  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      安達潤
    • 雑誌名

      発達障害の臨床的理解と支援-学齢期の理解と支援(金子書房)

      ページ: 77-102

  • [学会発表] 高機能広汎性発達障害者の大学での適応と支援-WAIS-IIIの変化からの分析2009

    • 著者名/発表者名
      木谷秀勝
    • 学会等名
      第50回日本児童青年精神医学会総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2009-10-01
  • [学会発表] 複数同胞のアスペルガー症候群がいる家族への理解と支援-WISC-IIIの双方向的な活用を通して2009

    • 著者名/発表者名
      川口智美
    • 学会等名
      第50回日本児童青年精神医学会総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2009-10-01

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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