[対象]北海道内の2つの高校[A校(職業科)+B校(普通科)の協力を得て、総計219名(男106名、女113名)が対象となった。 [手続き]予備研究と本研究に分かれる。前者はA校男女各2名に対して個別に実施し、質問項目内容の検討や手順の検討、対話による本法実施に関する感想等の聴取を行った。その結果、手順に特に問題はないことがわかった。研究実施にあたっては上質紙1枚(バウムテスト用)、実施前後の思いに関する質問表、描画用両用紙1枚、クレョン等の文具を事前に用意し実施前に個別に配布した。 [結果と考察]統計解析にあたってはSPSS16.0およびJUSE:StatMasterを用いた。本研究結果の概要は以下のとおり。 1.実施前後に実施したSTAIの状況不安項目の平均値比較結果、性別または全体比較でも、本法実施により、緊張・不安感の軽減がみられた(0.00<0.01 ; t値=3.243)。“慣れ"によるものか、本法実施の効果なのか等に関しては今後慎重に検討を深めたい。 2.「思いが絵にどの程度現れたと思うか」と「描画実感」間には、やや弱い相関が認められた(r=0.485)。本結果は、思いが深くても絵に現れにくいこともあるし、逆に思いが浅くても絵になるという可能性を示唆している。 3.思いの形容詞によるたとえについてはSDプロフィールより、男女とも「あたたかい、すき、たいせつな、つらい、重い」というイメージを抱いていることがわかった。 4.「思い」から想起する色彩は、男(透明→赤→白→燈…紫→黒)と女(白→赤→透明→檀…紫→黒)は類似し、性差は橙の強調が女性に認められる程度であった。 研究終了後、B校より「本法が高校生に対する心理的ケアのスクリーニングテストとなる可能性があるようだ」と研究継続の申し出があり、平成21年5〜6月に1.2年生全員(各160名、総計320名)に対して本法を実施予定。
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