研究概要 |
本研究の目的はロールシャッハ・テストにおける信頼性の高いスコア化の実現のために,データベースを活用したスコアリング支援システムを構築することである。この目的のため,平成20年度は主に以下の2点の作業を中心に行った。すなわち,(1)多岐にわたるロールシャッハ反応をより迅速により正確に検索すべく,データベースに蓄積された約570名,12,000個以上に亘る反応を一定のルールにしたがって整理を行ったこと,(2)スコアリング支援システムにおいて非常に重要な役割を担う言語検索の仕組みを作り上げること,である。 (1)については,反応内容および領域の整理がほぼ完成し,きわめて高い精度で,ロールシャッハ反応の検索が可能となった。(2)については,市販されているデータベース・ソフトや言語解析プログラムなどを用いて言語検索の基礎的な仕組みが完成した。なお,この言語検索の仕組みについては,平成20年10月に開催された日本ロールシャッハ学会第12回大会にて発表を行った。 なお,平成20年度におけるこの他の成果発表に関しては,まずわれわれの開発したロールシャッハ・データベース・システム(RODS)のWindows Vista対応版が金子書房から出版されたことが特記される。平成16年に出版されたWindows XP版に引き続き,われわれの研究成果がさらに多くのロールシャソバ実践家と研究者に受け入れられつつある。さらに,研究代表者の高瀬は,このデータベースを用いた研究成果の一部を第19回ロールシャッハおよび投映法の国際会議にて発表した。
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