研究概要 |
本研究の目的はロールシャッハ・テストにおける信頼性の高いスコア化の実現のために,データベースを活用したスコアリング支援システムを構築することである。この目的のため,平成21年度は主に以下の3点の作業を中心に行った。すなわち,(1)多岐にわたるロールシャッハ反応を蓄積するため,データの追加・補充を行なうこと,(2)スコアリング支援システムにおいて非常に重要な役割を担う言語検索の仕組みを充実させること,(3)上記の言語検索の仕組みを応用した反応内容・言語内容に係わる研究を推進することである。 結果として,(1)については,非患者群から臨床群に至るまで累積で約600ケース(反応数にして14,000個以上)の信頼に値するロールシャッハ・データを,被検者の人口統計上の情報や診断名などとともにデータベースに蓄積することができた。また,(2)については,市販のデータベース・ソフトや言語解析プログラムなどを応用することによって,かなり精度の高い言語検索の仕組みができあがった。そしてこの仕組みが,複雑なスコアリング作業において補助的な役割を果たすことを確認した。さらに,(3)については,まずその手始めとして人間運動反応(M)における反応内容・言語内容に関する研究を行なった。 なお,これらの研究成果は,(2)については「ロールシャッハ逐語検索システムによるスコアリング支援の試み」というタイトルで,(3)については「ロールシャッハ人間運動反応における内容分析の可能性と将来展望」というタイトルで,いずれも大学の紀要に発表した。
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