研究課題/領域番号 |
19530638
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
松田 真理子 京都文教大学, 人間学部, 講師 (40411318)
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研究分担者 |
和田 信 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10359820)
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キーワード | アットリスク精神状態群 / 精神病顕在発症予防 / 心理的面接法 / 前駆症状 / PRIME-SHEET / CAARMS / 再発予防 / 自我の安定 |
研究概要 |
研究目的は「アットリスク精神状態群(ARMS)に対する精神病顕在発症を予防する心理的面接法の開発」であり、本年度の研究実施計画に基づいて以下の作業を遂行した。 1.スクールカウンセラー先や精神病院での心理面接を通じて既に蓄積してきたデータの分析と国内外の早期精神病予防に関する書籍・資料の収集等を行った。また、研究会を実施し、今年度のデータ収集方法を確定した。 2.東北大学医学部精神神経科教室(松岡洋夫教授・松本和紀講師)におもむき、CAARMSを使用したARMSの同定ならびに認知行動療法も含めた精神病顕在発症予防ならびに治療に関する集中的研修を1週間受けた。さらに東邦大学医学部精神神経医学講座教室(水野雅文教授)におもむき、PRIME-SHEETによるARMSの同定ならびにARMSのみを対象とした専門デイケアでのARMSへの実践的働きかけを中心とする集中的研修を1週間受け、実践的知識と方法を習得した。 上記研修において精神病顕在発症の予防に関する心理的面接の上で大いに参考になったのは次の内容である。 ・前駆症状を呈していても、自我親和的な内容(自我をおびやかさない症状)は精神科来談につながりにくく、自我違和的な内容(自我をおびやかす症状)は来談につながりやすい傾向がある。 3.厚生労働省の精神疾患関連研究班のひとつである「早期精神病の予防、早期治療および病態理解に関する臨床的研究」(松岡洋夫班)に於ける研究報告を聴講し、臨床研究の最前線の知見を収集した。 研究班の報告内容において精神病顕在発症の予防に関する心理的面接の上で大いに参考になったのは次の内容である。 ・ARMSの前駆症状の中で幻覚を主訴としている患者は、軽微の薬物療法も含めた治療を施行することにより、顕在発症が抑えられる傾向があるのに対し、妄想を主訴としている患者は、顕在発症しやすい傾向がある。 4.精神病院ならびにスクールカウンセラー先で新たな心理面接を行い、データを集積した。心理面接の際には、夢分析、箱庭療法、描画などを併用する事例もあった。新たなデータと既に蓄積してきたデータを検討・考察し、その成果の一部を学会で発表した。
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