研究課題/領域番号 |
19530638
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
松田 真理子 京都文教大学, 臨床心理学部, 講師 (40411318)
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研究分担者 |
和田 信 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10359820)
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キーワード | アットリスク精神状態群 / 精神病顕在発症予防 / 心理的面接法 / 前駆症状 / PRIME-SHEET / CAARMS / 再発予防 / 自我の安定 |
研究概要 |
研究目的は「アットリスク精神状態群(ARMS)に対する精神病顕在発症を予防する心理的面接法の開発」であり、本年度の研究実施計画に基づいて以下の作業を遂行した。 1.英国における早期精神病予防の実際に関する知見を得るため、東北大学医学部精神神経学教室の松本和紀先生、大室則幸先生、仙台白百合女子大学人間発達学科の森本幸子先生と共に平成21年6月28日~7月1日にマンチェスター大学のPaul French先生(臨床心理学)を訪問し、認知行動療法を交えたアットリスク精神状態群(ARMS)の人々に対する早期介入に関する研修を受けた。マンチェスター地方の臨床心理士は社会的地位が精神科医と同等に高く、顕在発症にはつながらない擬陽性の症状を呈しているクライアントも混在している可能性の高いARMSに対しては拙速に抗精神病薬を投与するよりも臨床心理士による心理療法に力点を置いていた。7月1日午後~7月3日はロンドン大学内のInstitute of PsychiatryのMcGaue教授を訪問し、ロンドンにおける早期介入の実際を学んだ。ロンドンはマンチェスターと比べ、ARMSの人々に対し、早期から微弱な抗精神病薬の投与も併用した心理療法が行われている率が高く、世界的潮流となっている脳画像研究も積極的に行われていた。 2.平成21年11月29日に東京新霞ヶ関ビル瀬尾ホールで開催された第13回日本精神保健・予防学会の学術集会、平成22年3月26日~27日にかけて九州大学医学部百年講堂で開催された日本統合失調症学会に参加し、AMRSの早期予防に関する研究について情報交換を行った。 3.精神病院ならびにスクールカウンセラー先で新たな心理面接を行い、データを集積した。心理面接の際には、WAIS-III、WISC-IIIによるIQや認知機能の側面、ロールシャッハテストによる思考障害や衝動統制の側面からもARMSの段階で踏みとどまっている症例と顕在発症している症例の異同を検討中である。なお、この研究結果は平成22年11月29日~12月1日にオランダのアムステルダムで開催予定の国際早期精神病学会(IEPA)第7回大会で聖隷浜松病院の精神科部長生田孝先生とポスター発表を行う予定である。
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