研究概要 |
大半の大学院が臨床心理士資格認定協会の第1種指定大学院という現状の中で,本学は平成19年度から専門職大学院として文部科学省から認可をうけ,1年次より臨床実習を行うカリキュラムが組まれている。 現実の問題として,心理学以外の学部卒の学生も,半期の事前学習で事例を担当することになり,様々な問題が生じている。修士論文の変わりに事例論文をまとめるという課題が大きく立ちはだがり,早く事例を担当することが最優先の課題という意識が教員、学生の双方に強い。そういう現状で,早く事例を担当することが出来た学生と,なかなか担当する機会に恵まれない者とに,イニシャケースを担当することに関する意識の違いが生じている。相談申し込み件数が学生数に比べて少ないことがそもそもの原因であるが,新規ケース1件に数名め希望者が殺到して,じゃんけんで担当が決まる現状に,徒来から言われていた「初めて」に対する怯えとか責任の重さをかみ締める方向に意識が向かわず,"果たして自分が担当してもよいのだろうか"といった吟味が薄らいできている印象がある。 そういう現状を踏まえて,イニシャルケースを担当することが決まったいきさつ,決まった瞬間に自分の中に沸き起こってきた感情などを個別の臨床指導を通して,丁寧に聞き取り,用意した調査票に記入をしていく作業を現在続けている。 そのために調査用紙を作成し,イニシャルケースを担当した学生に,順次アンケート調査して記入してもら計画であったが,専攻全体の了解が得られなかったため,個別に指導をしている学生で,協力の承諾をえることが出来た学生に実施している。特に初回から5回目までの気持ちの変化が大事と考え,継時的に追跡しているところである。
|