実際に授業で行ったRPを振り返り検討したところ、場面設定のあり方、指示の与え方、振り返りの視点など、多くの点に疑問が感じられた。まず、場面や役割設定において、院生自身が体験していないクライエント役等は演じにくく、指示を明確に出さない限り、場当たり的なやりとりになる傾向がみられた。また、RPの時間が長いほど、学ぶものが不明確になる傾向もみられた。初心者ほど、端的に演じたり、体験できることを題材にし、短時間で行われることが大切である。また、振り返りの視点としても、自由連想的に言葉にし、シェアリングすることでは不十分で、「演じた役割」「相手の様子」「何を学んだか」など、客観的な視点を与え、言語化を促進させる必要がある。RPの検討のあり方についても、逐語録を起こすこと、自分の傾向に気づかせること、応答のバリエーションを自ら考える姿勢の形成を意図した指導を予め想定しておく必要性が示唆された。 このようなことを踏まえ、大学院の事前教育として、段階的に学ぶためのプランを検討した。まず、最初の段階として拒否や受容、言葉のイントネーション、視線のあり方など、言葉でのやりとりではなく、非言語的な側面が作り出す場の雰囲気を読み取り、言語化を促す場面を設定する。その後には、言語面接のRPを行い、相手にどう寄り添うか、語りを促進するかという訓練やプレイセラピー等で頻出しやすい困った場面を取り上げ、実践的な訓練へと進むことが大切と思われた。
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