研究課題/領域番号 |
19530640
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研究機関 | 福岡女学院大学 |
研究代表者 |
奇 恵英 福岡女学院大学, 人間関係学部, 准教授 (40412689)
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研究分担者 |
大野 裕之 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (00037037)
重橋 のぞみ 福岡女学院大学, 人間関係学部, 准教授 (30412688)
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キーワード | 臨床心理学 / 心理リハビリテイション / 動作法 / 主動型リラクセイション療法 |
研究概要 |
本研究では、動作法による障害児者への心理臨床的援助の実践システムが、日本全国各地及び韓国を中心としたアジア各国への広がり、各地域における支援ネットワークの形成するに至った要因を明確化するために、心理リハビリテイションの会がある全国60か所への質問紙調査、過去30年間の各地の心理リハビリテイション療育キャンプ(1週間集中宿泊動作法キャンプ)のデータに加え、今年度は日本各地域から10か所の心理リハビリテイションの会、韓国臨床動作学会及び晋州を中心とした韓国における心理リハビリテイションの実践組織に対して面接調査を行った。その結果、衰退型、現状維持型、発展型の3つのタイプがあり、心理リハビリテイションによる各地の障害児者支援ネットワーク構築の要因は、(1)大学を拠点とする専門家の有無、(2)親の会のリーダー集団の有無、(3)特別支援学校を中心とした十分な援助者の有無、(4)技法及びその効果に対する信頼が挙げられた。衰退型においては、(1)及び(3)の要因の欠如が大きく作用し、現状維持型については、(1)から(4)を満たしているものの、従来の方法を踏襲しているため、20年以上構成員及び規模にあまり変化がなく、そのため(2)・(3)における新しい人材の確保が難しいことから今後の展望が不透明であった。発展型の場合、(1)の要因が欠如していても、(4)において、近年動作法から発展した主動型リラクセイション療法(サート;Self-Active Relaxation Therapy)を導入することによって、新しい援助者の確保、新しい障害児者の参加、それに伴う親の会の活性化が可能になった。以上のことから、動作法による障害児者への心理臨床的援助の実践システムの発展において、(4)の要因の重要性から、主動型リラクセイション療法の実践とその効果に関する実践的研究をまとめ、今後障害児者の心理リハビリテイションにおける療育システムの活性化とともに、療育の効果を増進する新たな方策を提示した。
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