研究概要 |
学校現場がおかれている昨今の状況を考えると,メンタルヘルスリテラシー(メンタルヘルスに関する知識と理解)は,これまで以上に必要になりつつあるように思われる。中でも教員など学校関係者のリテラシーをあげる試みは,子どもたちのメンタルヘルスに関する早期発見・早期対応を考える上で大変重要であると考える。しかしながらこれまでの研究においては,そうした学校関係者のメンタルヘルスリテラシーについて,一般化できる情報は乏しいように思われた。そこで研究計画2年目は次の2点を目的とした。 第一に1年目に取り組んだ「精神保健の知識と理解に関する調査」(学校関係者用)の結果を,一般住民(2000人)や医療・福祉専門職(1,392人)と比較検討し学校関係者の特徴について明らかにした。その結果例えば学校関係者のうつ病事例の認識度は,一般住民(28.8%),学校関係者(55.1%)と一般住民より高かったが,医療関係者と比較すると、医療関係者(72.7%)であり,認識度を更に高める必要性が考えられた。 第二に,(1)の結果をもとに学校関係者に対するメンタルヘルスリテラシーに関する心理教育的支援について検討した。具体的には、豪州の学校とイギリスのメンタルヘルス関連機関を訪問し、担当者と情報交換を行った。その結果メンタルヘルスリテラシーを高めるためには、(1)メンタルヘルスに関する教材開発、(2)学校内における人的サポートシステム(教師間,教師-生徒間,生徒間,専門職との連携など)の展開、(3)国家規模での学校におけるメンタルヘルスに関する支援の展開の必要性が考えられた。
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