研究概要 |
幼若期において,単独飼育による社会的経験の剥奪が社会行動の発達に大きな影響を及ぼすことは多くの種において観察されている.しかし,そうした社会的経験と社会行動発達を媒介している機序についてはほとんどわかっていない.そこで本研究では,(1)これまでの研究のレビューを踏まえて,マウスの社会的経験を構成する諸要素をもう一度系統的に調べ直すとともに,(2)社会的経験の剥奪によって生じる脳内変化をc-Fos発現,脳微小透析法,発達中の薬物の慢性投与などによって解析することを目的とした. (1)について,マウスでは,他の雄との身体接触および他の雄由来のニオイ(フェロモン)が社会行動発達に影響する社会的経験の重要な要素であることが示唆されてきた.本研究では,身体接触とニオイの相対的な役割に焦点を合わせた.(2)については,社会的経験剥奪による行動変化に伴って生じる脳内変化に着目して研究を進めてきた.
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