母子間相互作用に関しては、母子別々の状態でそれぞれの笑顔に対する脳の反応を近赤外分光法で計測したが、母子それぞれの前頭葉で活性化がみられた。自分の母親、自分の子で反応が大になることも見られた。また、mothereseでも大人に向けられたスピーチと比較して、乳幼児の前頭葉でより大きな活性化がみられだ。 一方、自他の認識に関する研究では、注意が自己に向いた時、外界に向いた時の比較を行った。自己に関しては印象が強い自伝的記憶の想起、外界に関しては狭い同心円の間をたどる課題とした。その結果、自伝的記憶の想起では前頭葉が活性化し、外界に注意が向かう課題では前頭葉に活性低下がみられた。また、自己めモニターに関して予備的な実験を行い、自己の脈拍のチエック時の前頭葉の活性化を検討した。その結果、前頭葉の腹側部で活性化がみられた。印象が強い自伝的記憶は情動的なもめである。そこで、一般に情動的な刺激の記憶が良いことを、情動的な写真の偶発学習とその後め再認で確認し、その後近赤外分光法で前頭葉の活性化を調べた。再認できた刺激と忘却し再認できなかった刺激への学習時の反応を検討した結果、両者では反応が異なることが明らかになった。これはdifferential memory effectと呼ばれているが、近赤外分光法でも確認できた。そしてより一般的に、再認は学習時の脳の活性化を再現することにより行われるとの結論を得た。
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