研究概要 |
先行研究(Yoshizawaら,2007)において研究代表者は「運動からの構造復元」刺激を用いた心理物理学実験によって,多義図形の空間構造は目立ちやすい対象を観察者がより近い位置に存在していると知覚していることを示した.この視覚情報による多義性は聴覚情報により解消されるのかという問題につい本年度はて取り組んだ.視覚情報ならびに聴覚情報が同時に提示されたときの空間構造理解について心理物理学実験を行った.視覚情報としては物理的に4つの空間構造に対応する視覚刺激を提示し,聴覚情報として前記の4状態のうちの一つの空間構造に対応する聴覚刺激(具体的には,音源が3次元空間内を移動する聴覚刺激を用いて空間構造が多義的である視覚刺激を提示した)を提示した.このような視覚情報ならびに聴覚情報の間で空間構造が一意に決定できない刺激布置の場合,安定した空間構造状態を提供する情報と一致する空間構造の知覚が得られることが,この実験より明らかとなった. 本年度は最終年度であるため研究結果をまとめ,成果報告をおこなった.すでに,前年度までの研究結果は原著論文として1件投稿中,2件準備中である.また,本年度の実験結果を国際会議,および国内会議において報告した.
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