本研究は、英米国における特別行政部門(教育、警察、消防)に属する組織と職員評価の関連のあり方について考察することを目的としている。 平成19年度は以下の課題を中心に研究を行なった。 (1)英国における業績主義による個人評価が学校組織に及ぼす影響 (2)英米国における特別行政部門職(警察あるいは消防)の組織評価と個人評価のしくみ (3)英米国における業績主義の発生と浸透の理由 (1)に関しては、イギリス・ロンドン市ならびにダーラム市において現地調査を行なった。教育水準監査院(OFSTED)による学校監査の内容、学校監査結果に対する校長、教員の考え、教員評価の内容、業績の測定方法、組織内の協働状況を調査項目とした。その結果、イギリスの学校・教員評価が学力・授業評価を中心におき、次に教員評価、学校評価をおく、いわば同心円型の評価システムであること、業績主義と能力主義が混在して評価が実施されていることが明らかになった。 なお、調査結果に基づく、イギリスの学校評価と教員評価の関連については、仙台市教育委員会の学校評価システムの構築に関する検討委員会(2008年3月)にて話題提供を行った。さらに、平成20年6月に開催される日本教育経営学会において、研究報告を行う予定である。 (2)については、イギリスの消防・警察を中心に文献研究を行った。 (3)の課題については、イギリス業績主義の発生に関する文献研究を行った。加えて、業績主義やNPM行政論の問題点解決を視野に、社会的行為と自己のアイデンティ形成について論じているチャールズ・テーラーの著作等について考察を進めた。
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