本研究は、英米国における特別行政部門(教育、消防、警察)に属する組織と個人の評価の関連のあり方について考察することを目的とする。平成20年度は、以下の課題を中心に研究を行った。 1. 米国における共通の評価基準をもちいた政策評価(学校評価)と教員評価の実際 2. 英米国における特別行政部門職(警察あるいは消防)の組織評価と個人評価のしくみ 3. 英米国における業績主義の発生と浸透の理由 1. については、ダニエルソンが提唱する教員評価プログラムが幅広く使用されていることがわかった。次年度にはその有効性と学校評価との関連について現地調査を行う。調査の際の視点となる教員評価の在り方を「教員評価」『最新教育キーワード』(時事通信社、2009年)にまとめた。強みをもつ教員を育成するための教員評価制度でなければならないこと、人と組織が「健全」であることをめざすべきとしている。 2. については、第48回日本教育経営学会(2008年6月)にて、イギリスの学校・教員評価が同心円型のシステムとして機能していることを発表した。なお、その一部を「イギリスの学校・教員評価から学ぶ」『私学マネジメント・レビュー』第27号(コアネット教育総合研究所、2009年)にまとめた。 3. に関して、業績主義の背景には合理主義があり、それに抗する考えが公共哲学として論じられていることを理解するようになった。内外の公共哲学と称されるものについて文献研究を行った。なお、その成果は「学校・教員評価の在り方について-組織マネジメントと公共哲学の観点から」(宮城教育大学紀要-2010年3月刊行予定)として公表する。
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