平成21年度は、以下の課題を中心に研究を行った。 1.米国における共通の評価基準をもちいた政策評価(学校評価)と教員評価の実際 2.研究の総括 1.については、関係者からのヒアリング、文献研究を行い、アカンタビリティという語の内実の変容とともに、学力テストの結果が重視されている実態を確認した。 2.については、上記のような学力テスト重視の背景にある業績主義と、それに抗する考えとしての公共哲学との対比から、評価の在り方を考察することとし、「学校・教員評価の在り方について-組織マネジメントと公共哲学の観点から」(宮城教育大学紀要第44巻、2010年3月)としてまとめた。 さらに組織評価・個人評価を有機化させた組織の在り方を考えた場合、P.センゲの「学びの組織」論が提示する「協働」の具体的姿が有効であると考えるようになり、それを核とした論考「簡素で効果的な評価システムをめざして-学校関係者評価と第三者評価の関わりを中心に」(研究代表・葉養正明/国立教育政策研究所『教育・研究組織における評価に関する総合的研究(最終報告書)』2010年3月)を執筆した。 これらから、(1)アメリカにおいて、「測定できない学力」(非認知能力)に関わる活動はどのように展開されているのか、(2)学校・教員評価において、その成果はどのように評価されているのか、が研究課題として析出された。今後の研究では、連邦・州政府の補助金支出内容を手がかりとしつつ、その解明を行っていく予定である。
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