アメリカ・ミネソタ州で開発されたプロジェクト・べ-ス学習(Project-Based Learning、以下PBL)は、「有能な社会人の育成」を目標に掲げている点において、わが国で現下の課題となっているキャリア教育に示唆を得ることができるという見通しのもとに、以前から行っていた開発者たちとの研究交流を継続するとともに、PBLがもたらす教育的効果をキャリア教育の視点から考察することを目的として行われた。 その目的に沿って、平成20年5月にミネソタ州及びネバダ州のPBL校視察を行うとともに、同年8月にミネソタ州にある学校支援組織としてのエドビジョン(EdVisions)から3名の講師を招聘して「エドビジョンセミナー2008」を開催した。また、同時進行的にわが国における実践展開を研究協力校及び機関などと連携して行った。 その結果、PBL校の多くが卒業後の進路や生活を想定したカリキュラム構成を行っており、生徒たちの学びは自分の将来的な見通しと結びつけて行われていることが明らかになった。また、わが国においても、周囲との関係や社会的視野における学びの展開が、自分への強い自信や将来的見通しを獲得させることが明らかになった。この点は、キャリア教育の多くが職場体験などに向けられるわが国の現状に大きな示唆を与えると思われる。
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