1.平成19年度の予備調査で打診しておいたオハイオ州で予定していたアンケート調査の実現が困難となったため、予定していた米国出張をとりやめた。 2.代わりに、平成19年度、20年度の聞き取り調査で収集した資料を整理し、金銭的インセンティブへの関心が低くなった時期においてメリットペイが提案・導入・廃止される過程の支持基盤と政治力学についての検討を行った。 3.その主な知見は以下のとおりである。 (1)2000年代NCLB法体制におけるstandard-based movementは、performance bonusのあり方を、生徒の試験成績をベースとしたものにますます方向づけている。 (2)現代的な成果主義における基本単位は個人ではなく、学校単位である。この点、厳密な意味でのmerit payとはいえず、学校を単位としたschool incentiveである。 (3)成果主義の受容は、その必要性と実現可能性という二つの変数によって規定されており、一定の財政的基盤の確保と教員・住民の支持の調達が困難な都市部に集中している。 (4)成果の測定と手当の配分をめぐる方法・技術的な改善は現在進行形で行われている。
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