初年度であるため、主として先行研究および史資料の所在の調査とその蒐集に作業は集中した。とくに、以下の項目について顕著な進展が見られた。 1.学校衛生論受容研究の基礎史料としての学校管理論書の蒐集と整理。 箕作麟祥・伊沢修二らの『学校管理法』等、および三島通良の学校衛生関連書の蒐集を終え、その分析を開始した。 2.「学校衛生」関連諸雑誌に関する先行諸研究の収集と整理。 学校衛生研究会『学校衛生』の雑誌目次をデータベース化し、同時に日本学校衛生史に関する先行研究の収集と検討を実施した。 3.西洋における学校衛生論・衛生思想史関連史料の蒐集と分析 20世紀初頭に開催・刊行された国際学校衛生会議の全雑誌を蒐集することができ、その全目次をデータベース化した。英米仏学校衛生関連史料および学校管理論書を蒐集し、その目次をデータベース化した。 4.ヨーロッパ衛生思想史研究の実施。 「学校衛生」成立の歴史的基盤を解明する前提として、ヨーロッパ衛生思想史研究に着手し、その成果として、論文「からだとこころといのちの概念史」をまとめ公刊した。
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