1、学校衛生論受容の研究 学校衛生論受容の特質を明らかにするために、20年度は特に当時の欧米における学校衛生論議の動向を研究し、1904年にニュールンベルクで第一回会議が開催された学校衛生国際会議等、19世紀末から盛んに開催された欧米における衛生関連会議の動向を軸にした分析を進めた。20年度の探索過程において、1891年にロンドンで第7回会議が開催された世界衛生会議の記録を新たに発掘し、「衛生」論議の中に既に「学校衛生」に関わる諸問題が正面きって論じられていることを明らかにし、かつそのなかで子ども・青年の精神衛生問題も自覚されていたことを明らかにした。 2、「学校衛生」関連諸雑誌の系統的蒐集と分析 日本における学校衛生論の展開とその特質を把握するために、学校衛生研究会『学校衛生』(明治36〜38)、および帝国学校衛生会『学校衛生』(大正10〜昭和24)、大日本学校衛生協会『日本学校衛生』(大正2〜昭和16)などの雑誌分析を継続した。 3、台湾学校衛生史研究 旧植民地(台湾)における学校衛生の適用の実態とその後を探るべく、台北県立明志国中学ほか数校の現地調査を実施した。看護師資格を前提とした養護教諭の実態について精査し、「健康」等の学校目標の下での学校における養護教諭の職務のそれぞれについて説明を受けた。また、戦前植民地支配下における学校の現状についての諸史料の収集にあたった。 4、蒐集史料の整理とデジタル化 上記作業により蒐集した史料・データを、引き続き整理し、デジタル化を行い共有した。特に世界衛生会議関連の目次作成を集中的に進めた。
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