1.最終年度の調査の実施に向けて教育課程の調査の理論枠組み作るため、今年度も事例調査・聞き取り調査を行った。 2.その結果、理論枠組を作るに当たって、次のことに留意する必要があることが明らかとなった。 (1)教育課程行政及び管理を、行政ビジョン-重点施策-学校ビジョン-努力(重点)目標-教育課程-年聞計画-シラバス(指導計画)の体糸で構造化して捉える。特に教委の重点目標ないし学校のビジョンと教育課程の間に乖離があることに留意する。 (2)教育委員会の教育課程への関わりを明らかにするため、教育委員会が学校から教育課程を届出する際にどのようなチェックを行っているか(チェック基準)を検討する(例えば、学習指導要領や教委の重点目標など)。 (3)教育課程行政(管理)をPDCAサノクルの観点から捉えたとき、学校評価や第三者評価が教育課程に関してどのように行われているか、その実態を捉えると共に、そのような評価を行うことがどんな効果を生み、あるいは問題を生じているかを析出する。 (4)学校による教育課程の実施段階で、教委がどのような関与を行っているかを分析する。例えば、訪問指導や各種行政研修など。また、各学校自身が、教育課程の実施に係わってどのような校内研修体制を組んでいるか、その実態と課題を明らかにする。 (5)各学校の教育課題の解決のために、人的、組織的条件を整備し、教育課程を効果的に実施していくことが、教育の成果にどのように繋がるのかを検証する。 3.今後の課題 以上のような教育行政ないし学校経営という広い視角から、教育課程を捉え、教育課程の定着化に関する調査の設計を行う。これにより、教育課程の実践状況と課題を明らかにでぎ、教育課程行政ないし管理の特質の解明に繋がることが期待される。
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