研究課題/領域番号 |
19530702
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
友定 啓子 山口大学, 教育学部, 教授 (20091184)
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研究分担者 |
入江 礼子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (50288099)
白石 敏行 山口大学, 教育学部, 准教授 (10259327)
小原 敏郎 共立女子大学, 家政学部, 講師 (30439161)
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キーワード | 幼児 / 人間関係 / トラブル / 保育者 / 自己回復 / 共生 / 解決法 / 規範 |
研究概要 |
幼児同士のトラブル場面に、保育者がどのようにかかわっているかを明らかにするために、保育者及び保育学生によって作成された保育記録(508事例)について統計的分析と事例考察を行った。統計的分析については、記述をコード化し、エクセルおよびSPSS統計パッケージを用い、トラブルの原因・介入のきっかけ・保育者のかかわりを、子どもの年齢・保育者の経験年算などによって分析した。その結果、ものの取り合いやルール、不快な言葉に起因するものについては年齢差が認められたが、仲間関係や不快な行為については認められなかった。保育者のかかわ語は18種類を抽出しま。保育者は複数のかかわりを組み合わせて用いており、その用い方は子どもの年齢や保育者の経験年算によって差があることがわかった。また記録から、保育者は一人ひとりの特性や状況に応じてかかわりを判断していることが推測された。これらのかかわりの意図を考慮し、保育者はトラブル場面の中で、(1)自己回復を支える(2)共生の体験を支える(3)解決法を探す(4)価値や規範を伝えるという4つの方向性をもってかかわっていることを明らかにした。事例考察については、昨年度の事例集「『ごめんね』の向こうに」に引き続き20年度では、事例の精選を行い、理論的考察を加えてブックレット「子ども同士のトラブルに保育者はどうかかわっているか-500枚の保育記録から」を発行した。また、保育記録の保育者養成における活用の可能性を探るために、収集した保育記録に基づいた授業を実践した。 その結果、保育学生たちは保育記録を用いることによって具体的に考え合うことができることがわかった。またその過程で、学生たちが事例を多様な視点で読むことやトラブル内容の判断と行動面で多くの課題をもっていることが明らかにかになった。
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