本研究は、戦後はやくからヨーロッパでホロコーストのシンボル的な存在として、また特に1990年代に入り子どもの権利条約の成立・実施との関係でさらに注目されるようになったヤヌシュ・コルチャックの子ども観・教育思想の形成のプロセスとその歴史的意義の解明を試みるものである。本研究では、本計画の最終年度21年度においては、1.ワルシャワ大学図書館の他ポーランド国立図書館等にて、必要な研究資料の収集・補充を行い、本研究テーマに関する基本資料の収集は完了した。2.コルチャック並びにポーランド教育史研究に関して、ヴィンチツカ前コルチャック協会会長、ワルシャワ大学教育学部タイス教授、現コルチャック協会会長・国立特殊教育アカデミー(大学)教授のバルバラ・タイス教授と数度にわたる貴重な研究懇談・研究交流の機会を得た。3.また本研究は、この間の研究交流を背景にタイス教授らが来日する機会も生まれ日本の研究者との交流の広がりも可能となる契機となった。4. 今年度の本格的な研究成果の発表は一部学会発表にとどまったが同時に主題に関連する思想や事実について仮説的小論を雑誌上で連載発表し、将来的な単行本発表に備えることができた。
|