研究課題/領域番号 |
19530711
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
清原 正義 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50137254)
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研究分担者 |
横田 純一 北海学園大学, 法学部, 教授 (30191521)
坂野 慎二 玉川大学, 教育学部, 准教授 (30235163)
とう 秀 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (70305689)
本図 愛実 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70293850)
末冨 芳 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (40363296)
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キーワード | 教員 / 給与 / 学校運営職種 / 教育指導職種 / 教員評価 |
研究概要 |
近年の教員給与制度の改革動向を日本及びイギリスを中心に行った。まず、人事院「給与構造の基本的見直しについて」(平成17年)及び中教審答申「今後の教員給与の在り方について」(平成19年)を分析するとともに、教員給与において「勤務実績の給与への反映」が教員評価といかに関連するかについて検討した。また、現在の教員給与制度改革の方向が「給与構造の置換(新たな職の設置)「給与水準の抑制(人確法の見直し)」及び上記の「教員評価の給与への反映」にあることを明らかにした。とくに教員評価においては「能力評価」と「業績評価」が、給与にどう反映されるべきかについて検討した。 他方、イギリスで実態調査を行った。関係省庁、教員組合、地方当局、学校でヒアリング調査を行い、イギリスの教員給与制度改革の動向及び学校評価、教員評価と給料の格付けとの関連について検討した。経過報告として述べるならば、イギリスの教員給料表は能力主義的な多様化の方向を歩んできた。すなわち、「基礎給料表」「上級給料表」を区別して、前者から後者への移行には全国的な基準による選考が課せられている。さらに、これとは別に「卓越技能教員給料表」が存在するなど、教員の職務能力の評価によって給料表事態が分化している。その上で、昇給には教員評価の結果か活用される。教員評価の内容は基本的には「能力評価」だが、「業績評価」的な要素が加味されている。しかし、両者は截然と区別されていない。なお、管理職(指導層教員)の給料表は別表となっている。 日本では「教員評価の給与への反映」は本格的に始まろうとしているところだが、イギリスではすでに導入されている。ただし、問題点もある。評価基準は一定程度客観的に示されるよう評価根拠を明らかにすることが求められているが、最終的には校長の判断に委されるため、公平性、客観性や納得性には問題が残る。また、「能力評価」と「業績評価」の区別が明確でない点は、理論的な問題としても課題が残っているといえよう。
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