研究概要 |
研究の目的は大きく3つ。1.我が国の家庭教育の特殊性と普遍性を国際比較を通して明らかにすること。2.多元的な価値基準が尊重される現代社会にあって、多くの家庭が共有すべき価値基準や行動基準は如何なるものかを検討すること。3.国際比較研究の結果から得られた知見に基づき、我が国の家庭教育の再構築に寄与し得る実践教育ポログラム開発の研究に着手することである。 今年度は、アメリカで定評のある「40の発達資産」を抽出する基礎になったDAP調査「Development Assets Program」(58項目)を日本語に翻訳し、小学生、中学生、高校生を対象(10都道県、14000人)に調査した。集計結果は評価マニュアルに従い得点化し、発達年齢別、性別、また一部はアメリカのデータと比較分析した。 分析の結果、日本の子どもはアメリカの子どもと比較して、内的資産及び外的資産ともスコアが低く、発達資産の蓄積状況に問題があることが分かった。日本の子どもの発達資産の蓄積状況を見ると小学生のスコアは相対的に高いが、学年が進むにつれてそれが低下してくることが判明した。なお、性差については、ほとんど違いがみられなかった。 DAPはアメリカで開発された調査ではあるが、1,2項目を除くと、我が国でも活用が可能であることが分かった。 本研究は、中間まとめとして、ウィルソン・エイミーと岩野雅子が「日本比較教育学会」(2009年6月29日)で、相原次男とウィルソン・エイミーが「日本子ども社会学会」(2009年7月4日)で発表した。また、研究の成果として、山口県立大学大学院論集(第11号、2009年3月)及び国際文化学研究紀要(第16号、2009年3月)で公表した。
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