研究課題/領域番号 |
19530714
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
大高 研道 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (00364323)
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研究分担者 |
神田 健策 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10113705)
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キーワード | 社会的企業 / 自立支援 / キャリア形成 / ソーシャルキャピタル / イギリス:スウェーデン / 社会教育 / NPO / 社会的排除 |
研究概要 |
社会的に排除された人々に対する自立支援を展開する社会手的企業の実践分析を通して、市民社会組織によるソーシャルキャピタルの構築およびキャリア形成の可能性と課題を検討することが本研究の目的である。 平成19年度は、スウェーデンにおける社会的企業の現地調査(9月14-22日、調査対象:イェムトランド地域の社会的協同組合、EU機関、行政機関、中間支援組織など)を実施した。調査の目的は、平成18年9月政権交代以降の動向を、福祉国家再編とNPO(の位置)という観点から考察することにある。地方農村地域のひとつであるイェムトランドでは、歴史的に行政が提供できないサービスの一部を社会的協同組合が担っており、その典型が親保育協同組合であることはよく知られている。また、地域住民が自発的に設立した社会的起業により地域づくりの展開もみられる。反面、本科研が対象とする、失業者などの社会的に排除された人々に対する経済的・社会的支援は、依然として行政の領域とみなされ、社会的企業の役割は限定的に理解されてきた。本調査では、いまだ少数ではあるが、障害者やけ刑余者への自立支援を展開する社会的協同組合の登場を確認し、それらにかかわる支援活動の積極性と課題について考察している。また、本科研調査のもうひとつの柱であるイギリス調査に関しても引き続き情報収集等を行っており、その成果を社会的企業論およびキャリア形成論にかかわる理論検討とともに関連学会にて報告している。自立支援が、ともすると「個人(孤人)」の育成に焦点化しがちである現状において、地域を基盤として人々をつなぐ役目を果たしている社会的企業が提起する自立支援の内実と可能性/問題点の検討は、21世紀協働型福祉社会の担い手形成を考える上でも重要な意義を有しているものと考えられる。
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