研究課題/領域番号 |
19530716
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
鶴田 敦子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40250906)
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研究分担者 |
高野 俊 和洋女子大学, 人文学部, 教授 (40216685)
片岡 洋子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80226018)
伊藤 葉子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30282437)
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キーワード | 男女同一カリキュラム / 1970年代 / 長野県 / 家庭科教師のライフヒストリー / 教育文化会議 / 家庭科の男女共修 / 男性教師 / 自主的な教科書作成 |
研究概要 |
日本の学校のカリキュラムは、戦前・戦後を通して、基本的には男女別カリキュラムであった。本研究は、教師達が、家庭科の男女共修という形で男女同一のカリキュラムの教育実践にとりくんだその意図とそれを可能にした背景について、直接それに関与した元教師達にインタビューすることにより解明を試みることを目的とする。具体的には、女子のみの家庭科履修を実施した文部行政に抗して、自主的に男女共修の家庭科をいち早く実施した京都府と長野県に焦点をあてて行うものである。 平成20年度は、以下について行った。 1.長野県の元家庭科教師達へのインタビュー調査・長野県教育史の資料収集 2.家庭科の男女共修に関係した部署および関係諸団体の資料収集 3.収集した資料のおよび諸文献の考察に基づく分析と考察 長野県で男女同一教育課程が成立したのは京都府とほぼ同時期の1974年であり、それは、文部省が男女別学教育課程を完全に実施した時期と重なる。その要因は、長野県における「教育文化会議」の存在が大きい。これは、教職員組合と並列的に、且つ、それから自立的な自主的な教育研究団体としての性格をもち長野県のほぼ全ての教員がここでの研究・研修に参加している。また、京都府との相違は、家庭科の女子のみ履修という男女別教育課程の問題に、家庭科教師以外の男性教師が、積極的に関与した点がある。当時の長野県の高等学校教師達には、学究的な理論派の教師達が多く、家庭科の男女共修の理論的研究で家庭科教師を支えていた。また、実際、家庭科の男女共修に取り組んだ教師達は、戦前および戦後の混乱期の中で、人権を尊重することの意義を十分に感じ取っていた教師達であった。
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