(1)べてるの家および麦の郷での調査見学 べてるの家で行われた第6回の当事者研究全国交流会では、この間の当事者研究の広がりについての報告があり、それを受け、当事者研究の報告会が分科会形式(「病気、体」「ライフスタイルの多様性の可能性」「恋愛、家族」「仕事」)で行われた。そのほか、聞き取りや共同住宅を訪問しての聞き取りに加え、2009年6月にオープンした「カフェぶらぶらざ」の見学も行った。 また和歌山にある麦の郷は、1977年に作られた精神障害者の作業所であり、現在は精神障害だけでなく、不登校の子どもや高齢者も含めた幅広い支援事業を展開している。今回の出張では、その中で主に精神障害をもつ人が働いている作業所と生活支援や介護に関わる施設を見学した。 (2)スウェーデン、フィンランドでの調査 スウェーデンでは、国立障害児高等学校の授業を観察した後に主に知的障害と精神障害をもつ青年を対象に性の相談や性犯罪への対応を行っている相談所での取り組みについて話を聞いた。また、知的障害と精神障害をもつ人が働くレストランおよび精神障害者のグループホーム、主に精神障害をもつ人が通ってくる障害者センターBalderを訪問した。 フィンランドでは、大規模知的障害者居住施設を訪れ、担当の職員から話を聞くとともに、施設見学を行った。その後、ヘルシンキにある主に知的障害をもつ人のグループホームおよび就学前教育を行っている施設、さらに障害をもつ子どもともたない子どもがともに学んでいるオーロラ小学校を訪れ、校長からの話を聞くとともに実際の授業の様子も見学した。 (3)イタリアでの調査 トリエステ精神保健局を訪ね、担当職員より話を聞いた後、トリエステ市内の2つの精神保健センター、社会協同組合として運営されているレストランやリサイクル施設およびホテル内に併設された喫茶店を見学した。ベローナ市精神保健センターと精神科病棟の見学および精神保健福祉サービスの責任者である医師から話を聞いた。その後にサンジャコモ地区にあるセルフヘルプグループの活動を見学した。さらにアレッツオ精神保健センターを訪問し、担当の職員および医師から説明を受け、アレッツオ総合病院の精神科および精神病院跡を見学した。 (4)精神障害当事者が働く喫茶コーナーのアンケート調査分析 前年度に行ったアンケートの分析作業を行い、その結果を『明治大学社会教育主事課程年報』(2010年3月)に掲載した。
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