研究概要 |
幼稚園の保育の観察を行い、協同的な学び、自己抑制、学びの芽生えなどの観点から分析を行い、その成立過程を周りの人や物との関連において記述して、カリキュラム構成の基礎を検討することを目的とした。 1)子ども同士の協同的な学びの活動の成立過程を3歳、4歳、5歳と同一のクラスについて観察を完了した。並行して、4歳児のクラスの観察を行い、特に1年間の人間関係の成長とともに協同関係がどのように変容するかを分析している。それらから、一緒に活動を行うという段階から、少し先の目標を抱き、それとの関連で活動をとらえるところ、さらに遠くの目的をイメージして目標に降ろし、分担していく段階へと進むことが示されてきている。 2)そういった協同的な学びは自己抑制の発達と密接に絡み合うものであった。観察から、すぐに自分のやりたいことを実現するのではなく、先に向けて、それを延ばし、迂回路を経て、実現する手立てを工夫する様子が見られた。 3)学びの芽生えがどのように小学校に発展するかを検討した。幼稚園年長児の観察と小学校1年生の観察を実施し,知的行動の事例から,内容の分類6種類(「課題・目標を見つける」「特性・性質に気づく」「違いに気づく」「方法・手段を考える」「命に出会う」「文字・記号・数を使う」),行動の分類8種類(「試す」「比べる」「工夫する」「数える」「観察する」「調べる」「表現する」「話し合う」)に分類できた。幼稚園と小学校生活科とのつながりと違いを事例から検討した。なおまた,年4回の幼小交流や,「健康」領域の活動(竹馬などに挑戦するチャレンジ),協同性につながる遊びと話し合いの事例を収集し、小学校へとつながる様子を分析している。
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