平成20年度は、研究代表者・吉良直、研究協力者・北野秋男、和賀崇が「アメリカTA制度研究会」を組織して活動を継続した。8月末に佛教大学で開催された日本教育学会第67回大会では、吉良、北野、和賀が、「大学の教育力向上のための組織化に関する日米の動向」と題するラウンドテーブルで、これまでの研究成果の一部を、日本の現状に照らし合わせて発表し、参加者とともに有意義なディスカッションを行った。この企画には名古屋大学の夏目達也も参加した。 9月初旬には、吉良が10日間の日程でアメリカの中西部の大学を訪問した。訪問校は、インディアナ州サウスベンド市のノートルダム大学(私立)とミシガン州アナーバーのミシガン大学(州立)の2校で、教授開発センターのスタッフからTAに対する訓練・養成制度に関して説明を受け、参考資料を収集し、さらに学問分野別の訓練プログラムについても担当者の説明を聞いた。さらにミシガン大学では、教育に関する学識を重視するSoTLと呼ばれる活動に従事してきた教授2名のインタビューも行った。 10月末には吉良が、ネバダ州リノ市で開催された全米のFD学会であるPODの年次大会に参加し、これまでの研究成果を“Comparative Study of GTA Development in Japan and the U.S."と題して発表したことが大きな成果となった。さらに、様々な発表を聞き情報収集し、過去に訪問したセンターのスタッフなどと再会し有意義な情報交換の機会を持つことができた。そして、吉良と北野がこれまでの研究成果の一部をまとめた論文が『京都大学高等教育研究』第14号に掲載された。今後も情報収集と分析を継続しつつ、研究成果を日米の学会等で発表していく所存である。
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