平成21年度は、研究代表者・吉良直、研究協力者・北野秋男、和賀崇が「アメリカTA制度研究会」を組織して活動を継続した。6月初旬に首都大学東京で開催された大学教育学会31回大会では、吉良が「SoTLの実践における学問分野の影響」、北野が「我が国のTA制度の歴史・現状・未来」と題して発表し、有意義なディスカッションを行った。 その後、6月下旬には、マサチューセッツ大学アマースト校の教授・学習センター長のDr.Mathew Ouellettを招聘し、6月21日に吉良の本務校である日本教育大学院大学でTA養成と大学院生の教育力開発に関するセミナーを計画した。Dr.Ouellettは、アメリカ北東部の悪天候により一日遅れで到着したためセミナーは開催できなかったが、セミナー用の論文と発表スライドを用意してもらっていたため、吉良がDr.Ouellettの訪日中にその内容に関して協議する機会を持った。Dr.Ouellettは、全米のFD学会であるPOD Network in Higher Educationの元会長でもあるため、その知見を生かして国立教育政策研究所、名古屋大学、京都大学で講演を行った。 10月末には吉良が、テキサス州ヒューストン市で開催されたPOD Networkの第34回年次大会に参加し、TAの養成や大学院生の教育力開発に関する様々な実践報告や研究報告を聞き情報収集することができたことが大きな成果となった。さらに、過去に訪問したセンターのスタッフなどと再会し、来年度以降訪問できそうな大学の関係者との関係構築も行い有意義な情報交換の機会を持つことができた。さらに、平成21年度の重要な成果は、平成19年度からの3年間の研究成果をまとめた本最終報告書の作成であり、平成22年3月に刊行され、関係機関や研究者に配布した。
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