最終年度にあたる平成21年度は、平成20年度調査(日本教育大学協会評議員160名と全国私立大学教職課程連絡協議会役員50名、政令指定都市立・中核市立諸学校の「研究・研修担当教員」271名を対象)結果についての分析をおこない、日本教師教育学会第19回研究大会で発表し、および、平成19・20年度調査結果の分析とあわせて、これまで調査に協力いただいた大学関係者、教育委員会、教員団体への報告書を作成し送付した。「教員の自主的・主体的研修の奨励・支援のための施策」として、主に、次の三つのことを提起した。1.長期休業中の研修機会の拡大・回復…財政的負担なしにできることは、長期休業中の教員の研修活動を教育委員会主催の研修会や民間教育研究団体の研究会への参加、等々幅広く積極的に奨励することである。法制的には、教特法第22条2項「教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」を、立法趣旨どおりに自主的研修機会を保障するために活用することが重要である。2.課業中(学期中)の研修機会の確保…より根本的には、課業中の研修機会の確保が求められている。文部科学省が2006年に実施し2007年5月に公表した『教員勤務実態調査報告書』においても、研修どころか、より切実な授業準備ですら、残業や持ち帰り仕事により辛うじて行っている実態が明らかになっている。教員の授業準備や研修活動の時間を勤務時間内に確保することは、特別なことではなく、本来当然のことである。その実現のためには、少人数学級編制にとどまらない教職員定数の大幅な改善が必要である。3.「一定勤務年数での長期研修機会付与制度」構想の骨子(本研究を踏まえての仮修正)…2004年に発表した「一定勤務年数での長期研修機会付与制度」構想の骨子を調査結果に基づき修正し、新たに14項目にわたる制度骨子を立案し、大学関係者、都道府県・政令市・中核市教育委員会、教員団体、全連小、全日中、など、600余りの個人・機関・団体に送付し、「教員の自主的主体的研修の奨励・支援」についての議論の喚起を目指した。
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