研究概要 |
1.データベースの作成(1)中国側資料「中国留学生大辞典』(周棉主編、南京大学出版、1999年)から約1,100名の日本帰国留学生のデータを入力した。(2)日本側資料『中国文化界人物総鑑』(橋川時雄編纂、中華法令編印館、昭和15年、昭和57年の名著普及会による複製版を使用した。)から約400名の日本帰国留学生のデータを入力した。(3)比較対象として米国帰国中国人留学生のデータを得るため、かつて研究代表者が共同研究の際に作成した彼らの個票をデータベース化した。 2.中国人共同研究者の学会発表(1)高益民(北京師範大学比較教育研究センター副教授)北京師範大学の歴史から、当大学の公文書を使って分析した。それによると、中華民国時代前期(北京政府時代)、北京師範大学(北京高師、女子師範大学)は完全に日本留学帰国者によって掌握されていたこと、当大学教員も日本留学帰国者が大きな割合を占めていたこと、しかし、1910年代にほぼ半数を占めていた日本留学帰国者が1920年代に入ってからは4分の1を占めるにとどまったことなどが明白になった。(2)汪輝(浙江大学教育学院高等教育研究センター副教授)学生の主な留学先が日本から米国へと変化した1920年代以降の日本留学帰国者による社会的活動の特色をいくつかの同窓録から明らかにした。それによると、現段階で履歴がわかった340名の日本留学帰国者の最終職業のうち、最も多かったのは、大学教員および専門学校教員など教育関係の職であることがわかった。 3.史料収集台北市にある国家図書館、国史館を訪問し、民国時代の関運史料を収集した。日本留学帰国者に関する雑誌記事や著書などを収集した。 4.平成19年度研究の総括データベースの作成に追われ、活動分野の分類が進まなかったが、日本留学帰国者が中国の近代化、特に教育活動を通しての近代化に大きく貢献したことがわかった。
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