新自由主義教育改革における学校統廃合について、(1)情報収集および(2)実態調査を行った。情報収集においては、東京都川区、渉谷区、京都市などで、小中一貫校への移行という形で実質的な学校統廃合が行われる複数のケースについて、関係者からの聞き取り、データ収集などを行った。また、中野区、練馬区などにおける現在紛争中の大規模統廃合計画について保護者、教師などの関係者から情報収集を行った。新宿区では、学校選択制の導入により小規模校と過密校が生み出され、結果的に小規模校が統廃合対象になっているケースを検証した。実態調査としては、北海道夕張市の7小学校を1小学校に、4中学校を1中学校に統廃合するという市の財政再建計画に伴う大規模統廃合計画検証するために、同市を訪問し、教育委員担当部局、2008年3月に廃校になる南地区の小中学校の校長、副校長、および小規模校教師に聞き取り調査を行った。通学上の困難も伴う大規模統廃合計画ではあるが、将来的な児童生徒数の推移などを見越した説明により住民の反対運動がおこりづらい状況であることがわかった。さらに実態調査として、週統一学力テストの導入により新しいタイプの学校統廃合が行われつつあるアメリカ合衆国の訪問調査を行った。典型的なケースはミシガン州デトロイト市などで市の再開発とりンクして行われる貧困地区の学校の統廃合であるが、訪問したマサチューセッツ州アーリントン町の学校管理者らへ聞き取りから、80年代の学校統廃と州統一テストの弊害の問題点について情報を得ることができる。
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