昨年度に続き、米国において、高校在籍中に大学の単位を取得できるプログラム(高大接続プログラム)にどのようなものがあるか、また、それらのプログラムにはどのような利点と課題があるかを調査した。訪問調査では、ユタ州とカリフォルニア州を訪問し、大学、コミュニティ・カレッジ、高校、学区教育事務所等の関係者からそれぞれの州で実施中の高大接続プログラムについての情報を得た。 これまでの調査から、プログラムを成功させるのに重要であると感じたことは、以下の5点である。 ・コーディネーターやカウンセラーといった高校と大学との連絡調整をする人を養成すること。 ・高校と大学の教員がよく話し合い、両者が納得できる大学レベルの教科内容の基準をつくること。 ・教員研修の機会をできるだけ多く設けて、教師の力量を高めること。 ・プログラム参加者のデータを蓄積して、分析することで、どのような方法がより効果的か明らかにすること。 ・高校で取得した大学の単位は、より多くの大学で通用するようにすること。 高大接続プログラムはアドバンスト・プレイスメント(Advanced Placement)や国際バカロレアのプログラムのように比較的優秀な生徒のみを対象にしたプログラムといった印象が強いが、職業科目を主に選択している生徒にも高校在籍中に大学の単位を取得できるプログラムが用意されていて、かなりの数の生徒がそのようなプログラムにより大学の単位を取得していることがわかった。また、急増する高大接続プログラムを支援したりプログラムの質を保証したりするために設立された全米並行登録協力連合(The National Alliance of Concurrent Enrollment Partnerships: NACEP)に加盟してNACEPの認定を受ける学校も増えていることがわかった。
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