本研究は、アメリカ合衆国の多文化教育の理論と実践を手がかりに、我が国で実施されている「総合的な学習の時間」のカリキュラムを革新するためのモデルを解明することを目的としている。 具体的には、多文化教育の理論や実践の現状を捉えるとともに、その蓄積された知見をもとに、教育の目標・内容・方法・評価の視点から多文化教育のカリキュラムモデルを解明することを通して、総合的な学習のカリキュラムを発展させるための示唆を得たい。本年度は、以下のような調査研究を実施した。 1.第2回海外調査 アメリカ合衆国ワシントン州、カリフォルニア州において海外調査を実施し、多文化教育についての文献の収集、専門家へのインタビュー(ワシントン大学教授ジェームズ・バンクス氏、カリフォルニア州立大学モントレーベイ校元教授クリスティン・スリーター氏他)、先進的な取り組みをもつ学校の訪問聞き取り調査を行った。 2.文献研究 文献研究については、多文化教育のカリキュラムに関して、教育目標、教育内容、教育方法、教育評価の項目ごとに先行研究の検討を行った。総合的な学習の時間に関しても、カリキュラム・デザインの視点から文献研究を進めた。 2年次の調査研究からは、オバマ政権の誕生にともない、停滞傾向にある多文化教育が見直されていくことが期待されている一方で、まだ、どのような展開を遂げていくかについてはまだわからないといった意見が多かった。
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