本研究は、アメリカ合衆国の多文化教育の理論と実践を手がかりに、我が国で実施されている「総合的な学習の時間」のカリキュラムを革新するためのモデルを解明することを目的としている。 具体的には、アメリカにおける多文化教育の理論や実践の現状を捉えるとともに、それらの蓄積された知見をもとに、教育の目標・内容・方法・評価の視点から多文化教育のカリキュラムモデルを解明することを通して、総合的な学習のカリキュラムを発展させるための示唆を得たい。本年度は、以下のような調査研究を実施した。 1.第3回海外調査 3年次においては、第3回海外調査をアメリカ合衆国ニューヨーク州バッファローにおいて実施し、多文化教育についての文献の収集、専門家へのインタビュー、先進的な取り組みをもつ学校の訪問聞き取り調査を行った。 2.文献研究 文献研究については、構成主義の考え方に立ったカリキュラムデザインのプロセスについて整理するとともに、多文化教育のカリキュラムに関して、カリキュラムをデザインする際の基本的な考え方について考察して、論文を執筆した。 3年次の調査研究からは、言語的マイノリティに対するESLプログラムについての先進校において訪問聞き取り調査を行うとともに、全米的な動向の一端について捉えることができた。また、前述の通り、これまでの研究成果を整理して、カリキュラム・デザインに関する論文を執筆することができた。
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