研究課題
本研究の平成19年度における成果は以下の通りである。1)日本の学校(あるいは、学校間)におけるトラッキングのフィールドワーク(小-高校)を、大学院生を中心とする研究会を組織して継続的に行ない、同じラベル(例 小学校の習熟度別指導)のもとで異なる実践が行われている中、平等と質に関して問題の所在はどこにあるのかを分析してきた。切り口として、学力底辺層、外国人生徒の二者に焦点を当て、教室内の実践と共に、制度的な枠組みの検討を行ってきた。2)当初の計画に沿って、シンガポールとアメリカの海外調査を行ない、日本版トラッキングとの比較を通じて、後者の特徴や課題を分析してきた。シンガポールにおいては、シンガポール版トラッキング(ストリーミング)が緩和され、複数機会を与える制度へと転換しつつある背景を教育省関係者にインタビュー、小学校、中学校、高校における学校観察による実践としての新ストリーミングの把握をシンガポールの海外協力者、および、アメリカの海外協力者と共に行った。また、小学校卒業試験を複数回通過できなかった、極度の学力不振層のために作った新設の中等学校における観察やインタビューを行った。アメリカにおいては、メリーランド州のモントゴメリー、プリンス・ジョージズ郡等の隣接郡をとり、そこにおけるいくつかの小学校、中学校、総合制高等学校における観察・インタビュー調査を、学校間トラッキングと学校内トラッキングを組み合わせて、制度面と実践の両面からアメリカの海外協力者と共に行った。いずれも最終年度に論文としてまとめ、アメリカでのアジア学会でセッションを組み、最終的には図書の出版を目指している。本年度は、こうした観察調査、インタビュー調査と平行しながら、既存調査や既存研究の整理を行い、トラッキングの効果や弊害についての分析を行ってきた。その結果は拙著の中の章としてまとめられている(2008年度出版予定の拙著『子どもの三つの「危機」』勁草書房)。
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Enseignants et Ecoles au Japon: Acteurs, Systeme et Contexte (C. レヴィアルヴァレス・佐藤学編、図書)
ページ: 137-155
Educational Studies in Japan: International Yearbook (教育学会) No.2
ページ: 31-44