本研究の目的は、米国の大学院の財政的基盤にどのような構造的なパターンがあるのか、その多様なパターンの背景と要因、その多様性がもたらす利点や問題点などを探り、そこで得られた多様性を分析するための枠組を使いつつ日米の大学院の財政基盤の比較分析を行う、というものである。そのために平成20年度までは、米国の大学院の財政基盤に関連する文献・資料の収集、歴史学的な検討、米国の研究大学の大学院のマクロな財政構造の検討、米国の研究大学への訪問調査(幾つかのスクールに対する)などを行ったが、平成21年度には、それまでのマクロな政府レベルの財政から、機関レベルやスクール・レベルへと大学院財務に関する研究を進めるとともに、引き続き歴史学的な検討も行った。また、日本の大学院の財政・財務の分析のための資料収集・整理を行った。さらに、財政基盤を考える上で大学院の組織構造に対する認識が必要であるとの判断から、グラジュエト・スクールを中心とする大学院組織や、教員組織と教育組織の関係など組織的な側面の分析を行い、『IDE現代の高等教育』等に論稿を掲載し、あるいは今後も掲載予定である。
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