本研究では、米国の研究大学における大学院の財政基盤の構造的特徴を明らかにすると同時に、その多様性について分析し、日本の大学院へのインプリケーションを検討した。分析の結果以下のようなことが明らかとなった。連邦政府や州の政策においては、大学院の財政基盤に対する直接的な支援は限定的である。大学という機関レベル(グラジュエト・スクールが中心)でも大学院教育への財政的支援は限定的である。それに対してスクールやカレッジが大学院の財政基盤を支える主体となる。大学院プログラムの財政基盤のパターンには、「自給型」「経済依存型」「研究依存型」が想定され、それぞれに「専門職経済」「内部補助を駆使したスクールやカレッジの経営」「研究経済」が背景にある。この枠組みに基づいて、法律、ビジネス、医学、工学、教育のスクールの財政基盤の違いが明らかにされた。
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