研究概要 |
(1) 昨年度末(2~3月)に実施した,地域の産業と結びついていると思われる3地方都市を抽出し,定時制および通信制・全日制(普通科・専門学科)高校における教員及び生徒を対象にした質問紙調査について,集計作業および分析をおこなった。分析の焦点は,定時制高校の分化と生徒類型である。従来の定時制の視点では一括りにできない分化(多様化)が進んでいることをこれまでの調査でも明らかにしてきたが,分析結果として,定時制高校では,都市部と地方ではその分化の展開が異なることが新たに見えてきた。都市部では定時制の分化(いわゆる「新たなタイプ」の定時制など)が進み,それぞれの役割が固定されつつあるが,地方では地理・人口規模等もあり,分化が進みにくく,抱える問題の多様さと複合さが調査結果にはみられた。また,生徒類型においては,因子分析で析出された,周辺化競争でボーダーラインに位置づきやすい2つの高校生群(「撤退型」「不活発型」)をどのように包摂できるか,定時制高校は彼らに何を提供できるか,という問いを導き出した。 (2) 全国の定時制課程高校を対象とした悉皆質問紙調査を8月に実施し,集計作業および分析をおこない,3月に概要版報告書を作成した。詳細の分析は今後の課題である。 (3) 上記(1)の分析結果について,日本教育社会学会において共同研究発表をおこない,これまでの聞き取り調査等を含めた成果を雑誌論文(鳥取大学生涯教育総合センター研究紀要)に掲載発表した。 (4) 本年度も以上の研究計画実施にあたって,月2回程度の定例研究会を継続しておこなった。
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