研究概要 |
本研究は大学類型別の大学教育の影響と未婚期からの職業キャリアの影響を考慮に入れ,女性の結婚・出産後の職業キャリア分化を説明することを目的とする。 大卒女性の職業キャリア分化を詳細に把握するため,大学卒業後から現在までの職業キャリアについてインタビューを行った。「中間的女子大学」出身者には,結婚・出産後も職業継続している就業継続者と結婚・出産退職後に非常勤職員として再参入した者にインタビューを行った。「共学大学」出身者は,結婚・出産後就業継続している者,結婚・出産退職後教員として再就職した者などである。女子大学出身者のライフコースを検討するために,比較対象として現在就職活動中の女子大学3年生にも今後のライフコース展望についてインタビューを行った。 インタビューの結果,結婚・出産後も継続就業している者は大学入学以前より母親から就業継続するライフコースを勧められていた。結婚・出産退職後非常勤職員として再就業した者は職業を継続しにくい職場環境だった上に,母親から仕事より家族や子どもの世話を優先することを重要と言われてきた。女子大学生に行った卒業後の希望ライフコースに関するインタビューでは,母親のライフコースと同様のライフコースあるいは母親から勧められたライフコース展望を希望していた。大卒女性は大学教育の影響よりは母親が推奨したライフコースあるいは母親のライフコースをたどっていた。女子大学生も母親のライフコースあるいは母親の推奨するライフコースを希望していた。 本研究では一部の大学類型の大卒女性に職業キャリア分化に関するインタビューを行ったが,他の大学類型の職業キャリア分化に関しては十分に把握出来ていない。大卒女性の職業キャリア分化をより詳細に把握するために,他の大学類型の大卒女性にインタビューを行い,大卒女性の職業キャリア分化を検討することが今後の課題である。
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