研究概要 |
本共同研究は教育における「問題行動」「教育評価」「教育指導」の側面から文化的規範としての子ゼもへのくまなざし」に援近を試みるもめである。その範囲は教脊実践場面の分析から教育言説の歴史的考察まで広範なものであり,本年度は主としてその準備期間に充てられた。まず前期においては主に研究代表者・分担者・協力者らチームスタッフ全体による研究会や文献精読を行い,本共同研究における理論的分析枠組の共有及び構築に努めた。また後期からはそれに並行する形で公立小学校へ定期的に参与観察を主とした調査を開始した。具体的には1・6年生の授業場面や課外活動のビデオ撮影,観察記録等の作成を行った。特に音声を含む映像データは膨大なものとなり,大学院生の協力を得ながらPCデータへと処理・管理を行った。以上の素材をもとに定期的に研究会及び合宿を開き,チーム全体のなかで検討・考察を重ねた。そしてこれらの活動の成果をもとに,調査地である小学校において校長はじめ調査対象となった教員参加のもとビデオデータ検討会を行い,同様に本学卒業の初等教員たちとの研究会も開催した。これによってチーム内で蓄積しつつある知見を,常に現場教員にフィードバックすると同時に,初等教育実践者の視点を積極的に求めることで考察に幅と厚みをもたせることに成功してきており,今後一層の議論がチーム内・現場教員・各学会内において期待されている。また以上の調査・検討会から生じた新たな疑問点を明確にすべく,調査地の1年生・6年生の実態を把握するための質問紙調査を行った。なかでも1年生児童に対する質問紙調査は対象の回答能力の問題から例に乏しく,教育研究分野において実験的な試みとして位置づけることができる。なお平成20年度からはこれらの調査・ビデオデータ検討会の成果の発表を計画しており,本年9月には日本教育社会学会大会にて共同発表を行う予定である。
|