「グローバル市民性教育」に関する研究プロジェクトの目的は、グローバル市民性教育のための理論的枠組みと概念的基盤を検討し構築することであった。これまでに行なわれた研究においては、多くの研究者がグローバル市民性に関連する理論について研究を積み重ねてきているが、それらの研究のほとんどが、欧米を中心とする限られた国や地域の研究である。したがって、本研究のもう一つの重要な目的は、これまであまり研究の対象とされてこなかった国や地域の人々の視点をも研究の対象とすることによって、多様な視点から見たグローバル市民性教育のあり方を検討することである。 本研究プロジェクトでは、8つの言語を用いて23カ国の大学生対象に質問紙調査を実施した。また、半構造面接とフォーカスグループ面接も実施した。さらに、インターネット上に公開されている国家や州、または国際的組織の教育政策やカリキュラム等に関する公文書を分析するという方法も採用され、それらの組織がグローバル市民性にいかなる知識、能力、態度、価値観を期待しているかが明らかにされた。 本研究プロジェクトの成果については、本としてまとめることを計画し、2009年10月には、Sense Publishersとの間で出版に関する契約を交わすことができた。題名は"My global self : Theories and policies of global citizenship education"で、2011年度中には出版されることになっている。
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