研究2年次に当たる平成20年度においては、研究1年次の検討を踏まえつつ、試作品の開発と精度向上に取り組んだ。具体的には、小学校教諭・教育委員会関係者等からなる試作品開発のためのワーキンググループを月1回開催し、小学校向けの読解力向上ツールである「読書の小箱」「読書ロール」「本のショーウィンドウ」について、手引書作成と実践事例検討を行った。その結果、次のような点を明らかにすることができた。 ・手引書の作成に当たっては、新小学校学習指導要領・国語の指導事項及び言語活動との関連を明記することで、国語の授業に活用しやすいものとなる。 ・モデルとなる学習指導過程を作成する際は、子どもたちへどのような指示をするのかをきめ細かく提示する必要がある。試作品を活用した授業実践を蓄積することで、子どもたちの反応の傾向を踏まえて、指示の精度を上げていった。例えば、「魅力的な場面を選んで紹介する」といったときの「魅力」とは具体的にどのようなことを指すのかを具体化して子どもたちがイメージをもてるようにすることなどが重要であることを明らかにした。 ・「読書の小箱」については、例えばストーリーが循環するような物語の場合、円柱型の箱の外側に、出来事の絵や紹介文を付けることで、そのストーリー構造の特徴を押さえて読むことができるなど様々な具体例を蓄積することができた。 これらの開発成果は、読解力向上の理論を、実践事例をもとに具体化したものであり、研究成果の普及の際、大きな効果をあげることが期待されるものである。
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