平成21年度においては、開発した試作品を持参し再びベルリン・ブランデンブルク州立学校・メディア研究所を訪れ、研究交流を行った。またベルリン市内のプロジェクト指定校を訪問し、授業参観や校長等との協議を行い、PISAスーツケースを活用しつつ、学校全体で読解力を高めていることを明らかにした。さらに市立図書館を訪問し、児童書担当者から、図書館独自の児童向け事業を積極的に展開している状況について聞き取ることができた。それらの成果を持ち帰り、開発を進めるために、月1回ワーキンググループを開催し、検討を行った。開発した読書ツール試作品を、複数の小学校において国語科の授業で使用し、改良を重ねた。その結果、国語科「読むこと」の単元の指導過程全体を通して読書活動を位置付けた授業モデルを開発することができた。また、新小学校学習指導要領・国語の目標や内容との対応関係を明らかにした使用手引書を、「本の小箱」「本のショーウィンドウ」「読書ロール」の3種類の読書ツールについて低・中・高学年それぞれに、発達の段階に応じた指導ができるよう作成した。その後、研究1~3年次に開発した、日本版「PISAスーツケース」の読書ツールを、さらに小学校国語科における授業改善に活用しやすいものとするため、読書ツールを用いて育成できる能力を具体化する、小学校国語科の評価規準を作成した。具体的には、研究代表者及び小学校教諭、教育委員会指導主事等からなるワーキンググループにおいて、小学校国語科の単元ごとの評価規準を設定する作業を行った。なお、本研究の成果は、「日本版『PISAスーツケース』の開発研究成果報告書」としてまとめている。
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