1.「後期中等教育におけるアートライティング」と題する論文を発表し、美術の学習における文章表現の役割に焦点を当てるアートライティング教育を提唱し、今後の研究発展の基礎となる、研究アプローチと適用形態についての枠組みを提示した。また、後期中等教育のアートライティング振興を目指すエッセイコンテストの基本設計について、学校教育の実態と今後の美術領域の社会的展開をともに視野に入れ、制作体験、作品探究、芸術支援という三種のジャンルを基礎とする観点を論じた。さらに、コンテストの創設と実施を通して、高校生が実際にアートエッセイの執筆において一定以上の成果に到達できることを実証し、教育現場で生徒と教師の活発な取り組みを生み出しつつあることを明らかにした。2.大学教育におけるアートライティング学習の研究と執筆指導法の開発をさらに進め、成果を冊子Art Writing第4号として刊行した。3.ビジュアル・シンキング・ストラテジーに基づいた学習支援活動「筑波大学子どもアートラウンジ」を2年目として継続開催し(平成20年7月ならびに9-11月、筑波大学)、小学生のグループ討論による美術学習の過程を記録し、映像と発言内容の文字記述による研究資料として整理した。4.学士課程および大学院博士前期課程のカリキュラムにおいて、ビジュアル・シンキング・ストラテジーによる美術学習指導者のための訓練プログラムを導入し(昨年に続き2年目)、その経過を記録、研究資料として蓄積した。5.米国におけるビジュアル・シンキング・ストラテジー研究会に参加し、我が国の言語・文化環境における導入の経過について報告するとともに、同国の学校・美術館等での展開事例について資料収集を行った(平成20年10月、インディアナ州インディアナポリス美術館)。
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