研究概要 |
研究の目的:比や比例の授業の中で,子どもが数学的表記にどのように関わっているのか,その関わりが子どもの比例の考えの変容にどうつながっているのかを考察し,比例の考えを進展させるような数学的表記との関わりを実現することを目指して,指導上の提案を行う。 本年度の実績1:平成19年度に行った実態調査の結果(小6児童についての結果)を,宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要第31号に,研究論文として発表した。(11「雑誌発表」を参照)。 本年度の実績2:平成20年度に行った,公立中学での「比例」の授業のフィールドワークの結果の一部を,日本数学教育学会数学教育論文発表会において発表した。(11「雑誌発表」を参照)。概要:3名の注目生徒の授業中の活動を,数学的表記の内化の3つの相から概観した結果,相はきれいに進んでいるわけではなく,ある相が継続したり,前の相が再度現れたりするといった複雑な様子が見られた。また,表の内化は,式やグラフに比べて,進んでいた。生徒による表の進んだ使用は,文字式による表示など,その生徒にとって新規な表現様式の意味づけに関与していた。その一方で,生徒によっては,式などの扱いが進む際に,表に対して新たな見方が出現している様子も観察された。 本年度の実績3:3年間の研究のまとめを行い,報告書を作成した。報告書の目次:はじめに;第1章先行研究の検討;第2章数学的表記の内化を促す文脈の探究-「単位量あたりの大きさ」の授業の考察;第3章「比例」指導前の中1生徒の比例の式の扱い-筆記調査を通して;第4章中学校比例の授業での生徒の数学的表記の内化を捉える;第5章指導への示唆;参考文献・資料。
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