研究概要 |
本研究では,キャリア教育の本流である職業教育概念を検討し,キャリアを「個々人が生涯にわたって行う選択とそれに引き続く行為の連続体」として捉え,キャリア教育を「個々人が自分の生き方と職業を考え,行動互ていくために必要な知識とスキルを獲得し,自己の人生と職業観を形成するための教育」と定義した。 日本では,キャリア教育に関連するものとして,進路指導,職業指導,キャリア開発,職業技術教育におけるキャリア教育などさまざまな考えがあるが,中でも進路指導をキャリア教育とする傾向がある。この進路指導は,フランスではオリエンテーション(orientation)と呼ばれ,普通教育としての職業教育の要となっている。それは,学歴(教育水準)と対応した職種や職務の必要に応じだ専門性を問う職業資格の取得を重視するものであり,日本のように,学歴取得を主目的とした進学指導ガイダンスを重視するものとは,性格を異にする。この概念や内容を比較検討するためには,フランスにおけるオリエンテーシヨン、職業教育の歴史,教育制度と教育課程,教育目的を理解する必要がある。 フランスをはじめとする欧米各国では,一般に職業資格(Qualification)と結びついた職業教育が編成されている。フランスの特徴は,学校体系に応じて段階的な資格、免状の体系が整備されている点にあり,それに沿った教育課程が準備されている。 中等教育の教育課程について,プログラムを通して概観すると,テクノロジー科,地球、生命科,物理、化学科に職業選択へのイニジエーションを企図する指摘がある。中でも,リセにおける「社会、職業生活」科(日本の家庭科に該当)の内容は1995年の教育課程改革時にフランスの失業率増加問題の対策として強化された内容を含んでいる。
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