フランスでは、中等教育の教育課程において「社会・職業生活」科の教育が実施されるなど、普通教育から専門職資格教育までの総合的な教育政策及び教育実践が行われている。特に、フランスのキャリア教育実践の特徴として、「実体験と能動的認識を重視した科学教育」の改革運動の影響がみられる。 リセにおける「社会・職業生活科」の最新のプログラム(学習指導要領)の特徴は次の通りである。 (1)「社会・職業生活」の目標は、日常生活や社会・職業生活全般に対する同化を方向目標としている。また、到達目標として、様々な生活上の状況に構造的にアプローチできる能力、生活の質の向上を図る健康・環境・消費・職業生活の管理能力の養成が示されている。 (2)内容及び内容の配列の特色は、現実の生活過程の知識をもとに、生活問題や職業上の問題を解決するプロジェクトとして課題設定されている点にある。その内容は、企業における研二修生の立場(職業研修協定)と実習生の立場(実習契約)、労働市場と求職活動:情報提供のシステムと就職支援制度、職業生活の発展:生涯教育、転職と失業:扶助と再就職支援対策、被雇用者および賃金労働者が企業において有する権利と義務と役割:労働法典、勤務契約、労使間団体労働協約、企業における賃金労働者の代表、労災事故の防止:業務上のリスク、防止対策、事故の、報告といった、職業生活に必要な実際的で実践的な内容が問題解決に活かせるように系統的に配列されている。
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